就職無理学部物理学科

旧帝大の理系大学生が物理とプログラミングのブログ

テイラー展開・マクローリン展開を宇宙一わかりやすく解説する

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理系ブロガーのしば(@akahire2014)です。大学では物理学の研究をしています。

物理学や数値計算でよく使う公式にテイラー展開というものがあります。物理学の勉強をするなら絶対に知らないといけないというレベルです。重要な公式なので大学に進学するととりあえず授業で習うと思いますが、公式を知っているだけではテイラー展開の凄さがわからないんですよね。

テイラー展開って使うのは簡単なのですが、テイラー展開が何をしているものなのかイメージできることで公式を忘れにくくなったり、間違えたりするということが少なくなります。

テイラー展開とは何か

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テイラー展開の公式はこうなります。ちなみに関数の右上に(n)と数字がついていますが、これは関数f(x)をn回微分したものという意味です。

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ただこれだけだと何がそんなに嬉しいのかわからないですよね。とりあえず証明は後回しにしてテイラー展開の応用例を見てありがたみを感じてください。

具体的な計算

テイラー展開の便利さを実感しましょう。例えば(1.000634)21を計算しなさいという問題があったとしましょう。誰でもわかると思いますが、これをそのまま計算したら大変なことになります。

(1.000634)21をそのまま計算したら大変なのでこれを1と少数の部分にわけます。

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ここで、(1 + x)nのテイラー展開を考えてみましょう。計算自体はテイラー展開の公式にあてはめるだけなので簡単に計算することができます。

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テイラー展開で得られた公式を使って実際に(1.000634)21を計算するとちゃんと近似できていることが確認できました。

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テイラー展開の応用例と公式一覧

オイラーの公式

テイラー展開を使うことでオイラーの公式という不思議な式を簡単に導くことができます。

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eの肩に虚数が乗っていて、なぜかそれが三角関数に分解できるというのがオイラーの式です。いっけん成り立たなそうですが、xに円周率を入れると以下のようになります。

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今度はなぜか-1になりました。実際にテイラー展開を使って計算して本当かどうか確認してみましょう

sin(x)のテイラー展開

先ほどのテイラー展開の公式にsin(x)を当てはめてみましょう

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テイラー展開は微分するのが面倒ですが、sin(x)やcos(x)などの三角関数は微分すると元に戻るので比較的簡単に計算ができます。これでsin(x)のテイラー展開はわかったので次はcos(x)のテイラー展開を求めていきましょう

cos(x)のテイラー展開

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exp(x)のテイラー展開

exp(x)といのはexのことです。これをテイラー展開してみましょう。exは何回微分しても同じなのでテイラー展開が比較的簡単に計算できると思います。

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ここでxをixに置き換えてみましょう。

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テイラー展開を使ったオイラーの式の証明

これでオイラーの式を証明するのに必要な式は揃ったので実際に証明をしていきます。やることは簡単で実数部と虚数部を分けるだけです。

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これでオイラーの式が導けました。オイラーの式ってとても難しそうに見るけど、証明のための計算は簡単でしたよね。テイラー展開を使うことができればこんな難しい式も簡単に導くことができます

アインシュタインの質量エネルギーの式

物理学で一番有名な式といえば、アインシュタインが発見した質量エネルギーの式だと思います。

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「エネルギーって動いてる物しか持たないって思ってるけど、全く動いてない時でもエネルギーあるんやで。しかもめっちゃ多いねんで」ってアインシュタインが言ったのが質量エネルギーの式です。これを応用したのが原子力発電とかですね。

ただよく見る質量エネルギーの式は物体がゆっくり動いてる時や、静止している時しか成り立ちません。アインシュタインの本気の式をテイラー展開してみましょう。

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アインシュタインの本気の式のままテイラー展開すると計算がめんどくさいのでテイラー展開が計算しやすい形に式展開しました。ここまで式展開できたらさっきのテイラー展開の公式を使うことができます。

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テイラー展開しやすい形に式を変形しておくとテイラー展開の公式に当てはめるだけで式展開することができました。光速cは3×108 (m/s)なので物体の動いてる速さが小さい時はこの近似が成り立ちます。

まとめ

具体的な計算例や応用例を見てみてテイラー展開の便利さがわかったと思います。僕自身物理の勉強をしていくようになってその便利さを嫌という程実感しました。最後にテイラー展開でよく使う公式をまとめておきます。

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