就職無理学部物理学科

旧帝大の理系大学生が物理とプログラミングのブログ

釘抜きと洗濯から理解するてこの原理のなぜ

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こんにちは、物理学科のしば(@akahire2014)です。

 

中学校や高校で勉強することって、物理に限らず「これって何の役に立つんだろう?」という疑問を持つことがあると思います。

 

でもそういう疑問ってその学問を深く学んだ人にしかわからなかったりするんですよね。実際僕は大学で物理の研究をしていますが、高校のときに習った物理や数学が役立つ瞬間を目の当たりにして感動することが多いです。

 

そこで学校で習った物理で一番身近にあるものってなんだろうって思った時にてこの原理が真っ先に思い浮かびました。てこの原理が実際の生活でどう使われているのかと、なぜてこの原理が成り立つのかについて解説してみました。

 

 

てこの原理

てこの原理ってどういうものだったか復習してみましょう

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こんな風に、組み立ててあげると作用点のところにおいたものを、軽々と持ち上げることができるというものでした。理科の授業でこれを聞くと「すげえ!」ってなるかもしれませんが、実際の生活でどう役に立っているかを実感できている人はなかなかいないかもしれません。

 

釘抜き

使ったことがないという人もいるかもしれませんが、てこの原理の応用例として最初に思いついたのが、釘抜きです。

 

支点、力点、作用点の箇所は以下のようになっています。釘を手だけで抜こうとすると骨が折れますが、このようにてこの原理を応用することで、簡単に釘を抜くことができるということです。

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 てこの原理というと、何か支点になるようなものと板で使うというイメージがありますが、釘抜きの場合は釘抜きだけでてこの原理が実現できています。

 

ハサミ

驚くかもしれませんが、ハサミもてこの原理を応用しています。

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支点力点作用点は上の画像のようになっています。これを見てもハサミがてこの原理を応用していることをなかなか納得できないかもしれません。

 

もう一度、てこの原理の基本に戻ってみましょう。

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てこの原理というものを考えてみると「支点と作用点が近ければ近いほど作用点のところにあるものに大きな力を与えられる」というのがすごいところでした。

  • 支点と作用点が近いと動かすのに少ない力で済む
  • 逆に支点と作用点が遠いと大きな力がいる

 これは実はハサミでも同じことが起こります。

 

例えば、ハサミの奥の方で紙を切ると紙が切りやすくなることは生活の中で多くの方が知っているはず。これをてこの原理的にいうと「支点と作用点が近いので小さな力で大丈夫」ということです。

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逆のパターンもあります。ハサミを浅く噛ませて紙を切ろうとすると、切れ味が悪くなってしまいます。これもてこの原理的にいうと「支点と作用点が遠いので大きな力がいる」ということなんです。

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 てこの原理って結局何なの?

ここまで読んでいただけると、てこの原理が生活の中で役に立っていることが分かったと思います。またてこの原理の基本的な考え方もある程度わかったのではないでしょうか?

 

でもてこの原理ってどうして成り立つのでしょう。いろいろ調べたり考えたりしてみたのですが、てこの原理の本質は回転です。

重いものを動かすのがてこの原理というイメージですが、結局は重たいものを少ない力で回転させているということがわかりと思います。

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で、この重たいものを回転させるのに使っている力というのはどのくらい必要なのでしょう。それを考えるには洗濯道具について考えてみるのがわかりやすいです。

 

ピンチハンガー 洗濯 物干し ステンレス 52ピンチ 52S

ピンチハンガー 洗濯 物干し ステンレス 52ピンチ 52S

 

こんなやつです。

 

この ピンチハンガーにものを吊るして釣り合ってる時ってどんな時でしょう?以下の2つの場合を考えてみてください。

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左のパターンのように同じ重さのものが同じところにぶら下がっていると、もちろん釣り合います。

 

しかし右のパターンを考えてみると、「重さ×回る場所からの長さ」が釣り合ってる時に釣り合うということがわかるかと思います。

 

てこの原理をもう一回考え直してみましょう。今の説明を図で説明するとこういうことになります

 

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「長さ×距離」が釣り合っていたら板は回転しません。逆に左側を上に持ち上げてるために回転させたかったら

{ \displaystyle 力1 \times a \lt 力2 \times b }

となればいいです。これを式変形してあげると、

{ \displaystyle 力1 \times \frac{a}{b} \lt 力2 }

ここまでくるとてこの原理の本質が見えてきます。上の数式を日本語で書いてみると

左を持ち上げるには力1を{ \displaystyle \frac{a}{b} }倍した大きさより力2の方が大きければいい

aとかbとか入ってくるとわからないという人は具体的な数字を考えていればいいでしょう。例えば距離aが1で距離bが10だった時に上で言ってることを考えてみると

左を持ち上げるには力1を{ \displaystyle \frac{1}{10} }倍した大きさより力2の方が大きければいい

ということになります。ここまで考えると、なぜてこの原理で重いものを普段より軽い力で持ち上げることができるのかが分かったと思います。

 

最後に

物理っていうのは学校の科目の中でも敬遠されがちですが、こうやって実際の生活との関わりから入っていくと面白いと思います。

 

皆さんも洗濯物を干しながらてこの原理について考えてみてください。